石炭の記念館を訪ねて その2(福岡県大牟田市)

 幕末から明治維新へと大きく変わる時代に、日本の産業の近代化が進みました。
具体的には、製鐵、製鋼、造船、石炭産業を中心としたもので、
そのことは、日本全国にある構成遺産群を「明治日本の産業革命遺産」として、
2015年7月にユネスコ世界文化遺産に登録されました。

 九州には、鹿児島・熊本・長崎・佐賀・福岡の各県にその登録遺産があります。
私が現住する福岡県北九州市には、製鐵・製鋼事業の遺産として八幡製鐵所とその関連施設が登録されています。同じ福岡県内の大牟田市はかつて国内最大の炭鉱の街といわれ、
その石炭産業における遺産として三池炭鉱と三池港が登録されています。
 ひとくくりに言うと簡単ですが、そのエリアとしては広大で、炭鉱の坑口施設、石炭を運搬した鉄道と輸出した港湾、それから、炭鉱で働く人々の生活のあとが、残されているのです。
また、国・県・市の登録有形文化財の建物も見学ができます。

 さて、この日私が行けたのは一か所でしたが、(2018.4.13)
こちらの大牟田市石炭産業科学館をご紹介します。

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 JR鹿児島本線と西鉄天神大牟田線が通っている大牟田駅。その駅前の観光センターで
借りたレンタサイクルが便利で、片道約15分ほど走りました。

 有明海を目の前に建つその外観は、まるで宇宙ステーションのような姿です。
 ここでは、三池炭鉱の現代までの歩み、炭鉱作業の技術の進歩、石炭の資源についてを
知ることができます。





【燃える石の発見!】
 日本で石炭が発見された記録は日本書紀に「天智天皇七年、越国献燃、土与燃水」と記されているそうです。そして、福岡県内で最古の石炭発見の記録はここ大牟田に。
1469年(室町時代)、三池郡稲荷村(現在の大牟田市)の農民、伝治衛門が、
黒い石に火が燃え移ったことからの発見が始まりのようです。(『横谷貞明記』より)




【石炭採掘の展示】
 私は、手で採掘していた時代について調べることがあり、抗夫がその時に使用した道具、
坑道のしくみ等の資料展示に見入っていました。写真は、そのごく一部です。

 先に見た直方市では、掘り出された石炭を背負いかごで運ぶ様子がありましたが、
こちらでは「担い棒」を背に、天秤で運ぶようになっていました。立って天秤が担げるくらい余裕がある場所、つまり坑内の運搬状況もかなり違っていたのだろうと想像します。

 

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上)担い棒  下)ツルハシ


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坑内は暗闇ですから、カンテラの灯をたよりにしていました。




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 石炭を掘り当てるために下へ下へ、地上から遠ざかっていきます。
       そして、地下から運搬する方法に工夫が施されていきました。








 館内には、当時の地下400メートル坑内の坑道を体験できるコーナーがありました。
その中では、ツルハシなどで人間が掘っていくのではなく、ドイツからの採炭用カッターなど、大きな機械が導入されて近代的な技術のもとで採掘されていた様子を紹介してくれます。



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【炭鉱で働くひとの声】
 炭鉱の仕事に携わった人たちのインタビューやドキュメンタリーの上映作品を観ました。
当時の仕事の大変さがよく分かる資料映像でした。これをみたら、生き残っている人がいる
ことは不思議なくらいだと感じました。
 身を犠牲にして働く姿、病に倒れてしまった人や今でも後遺症が残る人の姿は、見ていて
心が痛みました。しかも、働いたのは日本人だけではありませんでした。
人員を確保できなくなれば、戦争中の捕虜も含め、外国人が働かされたことも知りました。





 戦後、石炭によるエネルギーの供給は、日本の復興に大きな役割を果たしていきます。
多くの労働者が必要とされ、炭鉱に集まり、次第に大規模な機械化も進みました。
三池炭鉱での石炭の最大出量は1970年の657万トン、その頃の従業員数は3万人をゆうに超えていました。石炭産業は日本の原動力となっていました。
 ところが、時代の波を迎え、次第に低価格の輸入の石炭にとって替わることが進みました。
三池炭鉱は、1997年3月に閉山となりました。










  展示もわかりやすく、見る、聴く、体験もできる、大牟田市石炭産業科学館。
 
  ウェブサイトもあります。どうぞ、ご参考までに。


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大牟田市 石炭産業科学館

http://www.sekitan-omuta.jp/info/index.html


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by nagomi-no-kaze | 2018-05-03 22:59 | あなたも行ってみませんか? | Trackback | Comments(0)

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