「口紅のとき」朗読とピアノのコンサート 終演しました。
2015年 03月 23日
出演 野田香苗(朗読)河村真希(ピアノ)
会場 l'atelier by APC(渋谷)
昨日は渋谷駅付近でも、ピンクの桜が開花。
幸先いいな~と思いながらの道すがら、会場へ向かっていきました。

ご来場いただいた皆様、誠にありがとうございました。
長い時間、最後までお付き合いいただいて、聞いてくださったことに感謝しております。
「聞き手がいてこそ、その場ができる」
いつも感じることですが、お客様の温かいまなざしと気持ちをいただきながら、
お伝えできることがあるのです。 本当にありがとうございます。
またご都合が合わなかった方からも、たくさんの励ましのメールやお電話をいただきました。
本当にありがとうございました。
河村真希さんとの共演は6年ぶり、前回「ぞうのババール」で演奏をお願いしたが
今回は違った趣向で一緒にできることを考えたいと思っていました。
以前、演奏のお仕事の話をしたときだったと思います、
「色々なシチュエーションに楽曲をイメージしたり、繋げることを考えるのが好きなんです。」と
河村さんが発した言葉が閃きの瞬間でした。
今回のプログラムについて、ちょっと振り返ってみます。
L.ウーラント/詩 「海辺の城」
R.シュトラウスもこの詩に作曲。 この作品は河村さんからの提案で初挑戦。
詩は、二人の男性の会話で成り立っています。 城を話題にしながら、
光と影、華と哀、対照的な見方が詩の言葉に現れます。
まるでオーケストラのように、たくさんの音が響くなか、曲調も明暗にわかれながら、
言葉と音楽を表現させていく、面白い作品でした。
河村さんの先生にもお聞きいただいて、いいアドバイスもいただくことができました。
楽譜通りに言葉を納めることを、私は考えていたのですが、
ドイツ語と日本語では言葉の運び方も違うので、その考えの枠を外すことにしました。
またピアノの聞かせどころである小節は活かして、早目に言葉を走らせたり、
また待つことも 考えて試していくうちに、次第に形になっていきました。
先に書きました、その閃きから、
「口紅のとき」 (角田光代著)を河村さんに読んでいただき、選曲と演奏を依頼。
快く引き受けてくださり、その後もリハーサルを重ねに重ね、どんどん
構成の大きな流れが動き出すようになりました。
会場のお客様には大変失礼なお願いでしたが、上演中、特に曲間の拍手はご遠慮いただきました。
構成上、お話と音楽、そしてその間に流れる余韻をまるごと感じながら聞いていただきたかったのです。
一人の女性が歳を重ねるにつれて、嬉しいことも悲しいこともくぐりぬけ、
日々を生きてくなかで、「口紅」という存在はつねに手元にあった。その色は様々に
自分の顔を彩っていく。いつ、どこで、どんな色をまとってきたのかを思い出す。
誰かのために口紅をぬれることは、こんなにも、自分の人生を豊かに、幸せに、思わせる。
作品の力が素晴らしく、そして河村さんが選んだ音楽の力無しには
このプログラムはあり得ませんでした。
*プログラム*
「海辺の城」 L.ウーラント/詩 R.シュトラウス/作曲 邦訳 海老原 彩 河村 真希
「口紅のとき」 角田光代/著 より
♪ 月の光 G.フォーレ
★ 6歳
♪ 舟歌 第1番 G.フォーレ
★ 18歳
♪ ソナチネ 1・2・3楽章 M.ラヴェル
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♪ 春の歌 (無言歌集より)F.メンデルスゾーン
★ 38歳
★ 47歳
♪ 3つの無言歌より 第3曲 G.フォーレ
★ 65歳
♪ ピアノのための ロマンス 武満徹
65歳
♪ アンダンテと変奏曲 J.ハイドン
★ 79歳
♪ 6つの小品より 第2曲 J.ブラームス
終演後のお声かけやご感想から、
ご自分の思い出を振り返る時間、想いを馳せる時間、
日常から離れて芸術の境地に、余韻にひたれる時間・・・と、お言葉をいただいて。
わたしも、挑戦させていただけて良かったと思っています!
感謝をこめて。


