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和みの風の~おはなし道しるべ~

海を越えての朗読会 vol.2 フランス編

5月27日~6月1日、フランス南西部に住む夫の親戚(従妹)のもとへ初訪問、滞在してきました。

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 静けさのなかにウグイスの声。それを聞いて目覚めると、窓から見えるのは、山々に囲まれた自然豊かな風景。
歩くと、澄んだ川の水の音。家庭菜園やブドウ畑、この時期は、さくらんぼが木々に赤く実る頃。
お花も様々に咲いている。教会の鐘の音を聞いて時を知るような、住むに心地よい、本当に素敵な街です。


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 そして、ここフランスでも朗読会、その好機が到来。  今更ながらの投稿ですが、今回はそのお話です。




 私が訪問を決めたあと、従妹のShinaさんからの情報で、近所の図書室で月に一度開かれる朗読会を知りました。
いつもは、男性の朗読者がいらして小説などを読んでいるそうでした。
そこでShinaさんは、私が一緒に参加できたらという提案を持ちかけてくれたのです。
 以前、台湾の台東市にあるカフェでの朗読会の模様をblogでご紹介した折、
Shinaさんは、「いつかフランスでも出来たらいいね。」と思ってくれていて、
それが、今回実現したのですから、凄いこと! すべて彼女のおかげです。

 さて、それでは日本のどんな作品を紹介しようかしら?
フランス語訳があるほうがいいなと考えながら、すぐ思い立ったのは、
昨年、北九州・東京で読ませていただいた宮沢賢治の作品『やまなし』でした。
作品のことを調べていたときに本で知ったことを思い出しました。
それは、フランス語に訳された絵本があり、蟹の子どもの会話にある「クラムボン」をどう訳すかの議論があった記事でした。
そこでShinaさんに伝えて、彼女は、早速フランス語に翻訳された賢治の本を探してくれました。
そこに納められていた『やまなし』を、フランス語と日本語でそれぞれ朗読して紹介することが出来ました。

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(「Journal de Millau」より)



 事前に地元の週刊新聞に記事が載ったこともあって、当日は地元のお客様がたくさん集まってくれました。
朗読者のリシャール・アベセラさんは、まず、日本に興味を持ってもらうためにと、日本の昔話を一話、
フランス語で語ってくれたのです。こうしたお心遣いも、本当に嬉しかったですね。
そして、フランス語と日本語の朗読による『やまなし』、最後に、詩『雨ニモマケズ』を日本語で朗読し
皆さんにも一緒に参加して読んでもらいました。とても楽しかった~。


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(プロジェクターに投影する資料は、Shinaさんが作成してくれました。事前に確認中!)



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 リシャールさんは表情豊かに、身振り手振り、表現されるので、私も負けてはいられないなと秘かに思ったのは本当です。
フランス語と日本語が掛け合う言葉の音の響きに合わせて、今度は皆さんの「聴きたい」気持ちがこちらにも伝わってくるのです。
 なんと幸せなことでしょう!
 賢治の代表作に触れてくださったことも、日本語の音を楽しんで聴いてもらえたことも、私は大変嬉しかったですね。


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Shinaさんが絵本の絵を見せながら、お話は進む。)



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(「雨ニモマケズ」を紹介。 右はShinaさん、私の言葉を通訳してくれました。)



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(朗読会の模様は、フランクさんが撮影。そして終演後に、会場の皆さまと。右:この会をコーディネートしてくださったコレットさん。)




 次の週の新聞には写真も一緒に掲載されたそうです。
(会場で、記者の方も一緒に聴いてくれていました。「Journal de Millau 」Jeudi 6 Juin 2019 より)
   いい写真でしょ?
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コーディネーター、司会進行も務めてくださったコレットさん(写真 右)に、
企画提案、資料作成、準備、当日通訳と、一番忙しかった従妹のShinaさん(写真 左)に、
快く一緒に読んでくださった、リシャールさんに、
そして、主人の母と叔母が、来場の皆さんに日本食のお差し入れをたくさん作ってくださったことに、
心より、感謝申し上げます。

 
 あとから、この記事をShinaさんに訳してもらいました。
   タイトル「日本語の語りの夕べ」
 5月29日(水)に、フランクさんと一緒にこの村に住むシーナさんのお宅を訪れている
日本人朗読家野田香苗さんをリルオリーブル図書館に招いて朗読会が催されました。
 最初に、リシャール・アベセラさんがフランス語で日本の小話
「半蔵衛門さんはどうして蠅を飲み込んで、その後どうなったか」を語り、
続いて香苗さんとリシャールさんが、シーナさんが紙芝居的にめくる絵本にあわせて
フランス語と日本語で交互に宮沢賢治の「やまなし」を披露した。
 最後に、映し出された言葉にあわせ、参加者全員で宮沢賢治の「雨ニモマケズ」を読み、
この読書の夕べはアジアフードのテースティングで幕を閉じた。
 素晴らしい経験を与えてくれたこの企画に感謝する。


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# by nagomi-no-kaze | 2019-08-20 22:59 | Live Report | Trackback | Comments(0)

「和みの風の朗読会2019秋」in 北九州 のご案内

 厳しい暑さの日々、いかがお過ごしでしょうか? 110.png
けれども、暦の上では立秋を迎えました。空を見上げると、筋状に流れる雲が見えましたよ。


 今年の「和みの風の朗読会」は、春と秋に北九州で予定を考えておりました。
が、春は開催出来なくなってしまいました。 申し訳ございませんでした。
私は東京での朗読出演の後に、家の引越で北九州を離れることになってしまったのですが、
それでも、秋は予定通りに北九州にて行いたいと思います。そのお知らせです!


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  日時: 9月7日(土) 14時開演 (約1時間を予定しています。)
  会場: 図書室カフェ ITOH  TEL:093-616-2185  Facebookページもあります。
  会費: 一般 1500円   小・中学生 1000円  
      ※ 別途、要1ドリンク (カフェでご注文ください。)




 今回は珍しく二名の作家の童話作品を、ご紹介したいと思います。 
 林 芙美子作 『鶴の笛』
 宮沢 賢治作 『なめとこ山の熊』
 
 どこでどのように身を置かれても、生きていくための術をきちんと考えて行動すること。 
それは人間も、鳥も、動物も同じなのかもしれません。
そして、命が生かされていること、安心して暮らせることへの感謝と祈りにも通じるのではないでしょうか。

 

 さて、奏者の渡辺浩行さんとはようやくご一緒するチャンスがめぐってきました。初めての共演です。
渡辺さんは古楽がお好きでリコーダーを演奏されています。
私は『鶴の笛』がとても良いのではないかと思っていて、それから『なめとこ山の熊』は私の好きな作品で
提案してみました。
 渡辺さんは横笛を選び、二作品にそれぞれ演奏を考えてくださっています。 どうぞ、お楽しみに。
 
 既にお申込みも受け付けています。
 まだ暑い頃かもしれませんが、ご興味がありましたらご検討ください。 聴いていただけると、とても嬉しいです。

 <お問い合わせ・お申込み>
  和みの風 野田 E-Mail: wafuu.noda★gmail.com  (★印を、@に変更して送信してください。)


 それでは、くれぐれも水分補給して、続く暑さに負けないでくださいね。 

# by nagomi-no-kaze | 2019-08-08 21:19 | 和みの風だより | Trackback | Comments(0)

朗読劇「月光の夏」を観て。

  陽射しの強さが日に日に増して、夏はこれから本番ですね。 

 昨晩7月27日(土)は、東京都杉並区にある劇場 「座・高円寺」のホールにて
 こちらの朗読劇を観てきました。
 まず、このチラシの絵を見た時は目を見張りました。今年もこの物語を聴けるとは!しかも東京で。

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 出演は女性アナウンサーのグループが中心となって、高校演劇部員、音楽教室の子どもたち、ピアニストとの共演を
なさっていました。(客席にお若い年齢層のお客様が多かったこともこれでうなずけました。)
朗読と音楽そしてこの物語に関係する取材映像と共に上演されました。 休憩なしの90分、それも見事な構成でした。


 
 私は北九州での生活三年半の間に、戦争にまつわる九州での話を、知るべくして知りました。 
それはほんのひとにぎりにすぎないかもしれませんが、正直知らなかったことが多くて、自分を恥じた思いがしました。
その中でも、一年目の夏を迎えた頃、まずは、坂根啓子さんによる朗読でこの「月光の夏」(原作/毛利恒之)を
聴かせていただいたことは強く印象に残っています。 ですから、これはぜひ聴きに行こうと思いました。


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 これは事実に基づいた創作です。
 鹿児島の知覧特攻隊に招集された若者たちのことを描いた中に、
出陣して帰らぬ人となった若者たちと、生き残ってしまったために福岡に送られて
その後の人生が一変してしまった若者たちがいたことを、この物語から知りました。

 この作品は映画にもなっています。
 物語に欠かせない、ヴェートーベン作曲の「月光」。そして、佐賀県鳥栖市の小学校にあったグランドピアノ。
 特攻隊員の二人が、本当はいけないのだけれど、そっと抜けて、長い線路づたいを歩いてはるばる鳥栖までやってきて、
ただの一度だけ、人生の最期にと、この曲を思いきり弾くシーンがあります。
 その後、一人は戦死。もう一人は生き残り、その後過酷な運命を背負っていくことになります。
 

 私が北九州で迎えた二年目の夏、8月15日、終戦記念日に、サンメッセ鳥栖(JR鳥栖駅前)に設置されているこのピアノに
会いに行きました。鳥栖(佐賀県)のある小学校に、当時は珍しかったドイツ・フッペル社製のグランドピアノです。
 この時のことを書いたblogをご紹介します。よろしければ、お読みください。
「月光の夏」とフッペル社製のピアノ



 今世界では、内戦の激しいところもあり、沢山の人の命が奪われています。
 戦争によって誰も幸せにはならない。 それなのに、どうして戦争はなくならないのでしょう。


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 終演後の帰り道、またこの本を読んでみようと思いました。
そして終戦記念日にはあのピアノの音色を、私は思い出すことでしょう。






# by nagomi-no-kaze | 2019-07-28 22:23 | 道しるべ(私が出会った作品) | Trackback | Comments(0)

暑中お見舞い申し上げます。

 和みの風の活動は、7月1日で19年目を迎えました。
今年後半へ折り返したところで、今は秋・冬の公演活動準備をしています。
これからもよろしくお願いします。

 なかなか更新ができませんでしたので、少し前を振り返ってみますね。

 長い連休となった今年のG.W.でしたが、その直前に家の引越をしました。
夫の転勤で出身の東京へ戻ることとなり、約3年半の北九州市生活にひと区切り。
沢山の方々に出会えてお世話になり、その分お別れは寂しかったですが、
ここで学んだり活動できたことは未来への糧になると思っています。
良きご縁をありがたく思い、引き続き、これからも繋がっていたいです。
春の朗読会は開催できませんでしたが、秋はそのまま予定します。改めてご案内します。

 先にレポートした、東京都三鷹市山本有三記念館での公演を終えてから、
次の週の5月20日~7泊8日 ドイツ旅行へ。
風流楽でご一緒のチェンバリスト渡邊温子さんの「音楽と教会セミナー」の旅行ツアーで、
中部ドイツをめぐってきました。 年始に申し込みをして、私のドイツ訪問が初めて叶いました!
フランクフルトを起点に、アイゼナハ、ハレ、ツェルプスト、マグデブルグ、ケーテン、ライプツィヒの街を
訪れることが出来ました。沢山の写真が手元にあります。

 その後、5月27日~ 6泊7日 夫の親戚(従妹)の住むフランスへ。
ここでは朗読会に参加できましたので、このあと、それを報告させてくださいね。


 梅雨明け宣言までもう少しというところでしょうか。
夏の暑さもひしひしと、それでも負けないで、食事もしっかり取って、乗り切りましょう。
素敵な夏の思い出を作って、元気にお過ごしください。



# by nagomi-no-kaze | 2019-07-19 14:43 | 和みの風だより | Trackback | Comments(0)

三鷹市山本有三記念館 春の朗読コンサート 10回目 終演しました。

2019年(令和元年)5月10日・11日 「春の朗読コンサート」は、
おかげさまで、10回目を迎えました。同内容2回公演 無事に終演いたしました。
http://mitaka-sportsandculture.or.jp/yuzo/event/20190510_11/

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 今年もたくさんのご応募をいただいたそうです。
両日お席が抽選となってしまい、外れてしまった方には申し訳ございませんでした。
当選したお客様は皆様ご出席。(毎度、出席率が高いのが有り難いです。)
そして早くからご来館くださり、時間ぴったりに開演できまして感謝申し上げます。
お忙しい中をご来場くださり、誠にありがとうございました。


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 記念館の企画展にちなみ、学芸員さんと相談しまして女性の主人公の有三作品をと、
戯曲のジャンルから『女中の病気』(大正13年10月発表)を推していただきました。
戯曲とは演劇の脚本、台本にあたります。つまり、登場人物の台詞で成り立っています。
私にはなかなか選べない作品です。というのも、内容を一人の読み手で朗読します。
聴き手は、会話で綴られるストーリーの行方を想像していくようになります。
そして、ここに音楽をどのように取り入れていくかが、とても重要です。





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 さて、メインの作品『女中の病気』。
大正時代、有三氏は劇作品を主に書いていたそうですが、これは37歳の時の作品です。
お話は切ない内容です。
 大正時代、「女中」の仕事は、住み込みで働き、家事全般を執り行うものが一般的でした。
そして弱い立場に置かれた女性に対する有三の視点が、この作品には描かれています。
話中にはお金の話もでてきますので、当時の物価についても調べてみました。
この時代は、戦争や、関東では大震災の影響も受けて、お金の価値に幅があるようでしたが
例えば、大正時代の100円は、今のお金の価値でいうと、30万~35万円くらいになるそうです。
このような背景も参考にしながら、お話を聴いていただきました。

 今回の共演に、クラリネット奏者 人見 剛さんに是非ともお願いしたいと思いました。
この物語を読んで、時代背景と女中の存在を意識してもらいました。
女中のテーマの曲を作ってもらえることになったのは嬉しかったですね。
そこから展開していく音楽を作曲。一幕ごとに、音楽も追っていくという形です。
音域の幅も、テンポの変化も生かされた曲調は、物語の展開にぴったりでした。
また、テーマの音楽が分かりやすい。これらが、皆さんにもいい印象に映ったと思いました。
耳に馴染みやすくて、私などは普段でもこのフレーズをつい歌ってしまうのですよ。

最後に人見さんから教えてもらったことですが、このテーマの曲が生まれたきっかけは、
人見さんの奥様が口ずさんだメロディだったそうですよ。
そうでしたか、ご夫婦で生み出してくださったわけですね。 どうもありがとうございました。
今回はお互いに「挑戦」すべきものがありましたね。 私にとっても印象に残る作品となりました。


~プログラム~

演奏
「モノローグ」 エルランド・フォン・コック 作曲

朗読 
山本有三 作

『「酒中日記」を見て』(抜粋) 初出:「国民新聞」(大正8年5月21日)


『女中の日記』(抜粋) 初出:「演劇新潮」(大正13年10月号)


 朗読 野田 香苗  クラリネット 人見 剛


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# by nagomi-no-kaze | 2019-05-12 18:30 | Live Report | Trackback | Comments(0)

ありがとう 平成。 おめでとう 令和。

新たな元号「令和」の時代の幕開けです。 
おめでとうございます。

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(福岡県太宰府市にある坂本八幡神社にて  2019年4月9日)
この時訪れた太宰府については、別途、ご紹介したいと思います。



 天皇陛下ご即位に伴い、令和元年は、5月1日から始まりました。
「令和」この元号については、645年の「大化」から数えて248番目となるそうですね。

「令和」の典拠は、
日本最古の歌集『万葉集』に収められた「梅花の歌三十二首 序文」にある
初春の月にして(しょしゅんのれいげつにして)
気淑く風ぎ(きよく かぜやわらぎ)
梅は鏡前の粉を披き(うめは きょうぜんのこをひらき)
蘭は珮後の香を薫ず(らんは はいごのこうをくんず)

の文言が引用されました。



 平成最後の日、天皇陛下の国民に向けての最後のお言葉をTVで拝見し、あたたかい気持ちになりました。
 私は、様々な人々と出会い、そして別れがあり、また再会も経験しながら、ご縁をいただいたことを思いめぐらせました。「平成」の三十年を、おかげさまで無事に楽しく過ごさせていただいたと思いました。 平成 ありがとうございました。

 「令和」の世においても、戦争のない、平安な時を過ごしていけますようにと願います。
 私自身は、これまでいただいたご縁を忘れず、少しずつお返しもしていけるように努めて
いきたいと思います。 令和 これからどうぞよろしくお願いします。




# by nagomi-no-kaze | 2019-05-01 01:26 | しあわせの和 | Trackback | Comments(0)

ライラック通りの会・2019朗読会のご案内

春爛漫ですね。いかがお過ごしでしょうか?

児童文学作家 安房直子さんの作品を好きで、これまでにも朗読させていただいており、
ご来場のお客様には、ファンの方も多くいらっしゃるのだなと、うれしく感じています。
 東京での「安房直子記念~ライラック通りの会」では、安房さんの作品を語り継ぐ会
として、今春朗読会の開催があります。

 ライラック通りの会  http://lilac-dori.hatenablog.com/

 こちらに、私も初めて出演させていただくことになりました。ご案内します。


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 テーマが面白いでしょう。お料理が出てくるお話が色々とあるのですね。
私は、「ゆきひらの話」を読ませていただきます。
安房さんの母校 日本女子大学同窓会館の、桜楓会館にて。
ご興味がありましたら、ぜひ、聴きにいらしてください。
  <お問合せ・お申込み> 野田 wafuu.noda@gmail.com



なお、こちらも合わせてご紹介します。↓  お楽しみに♪


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それでは、どうぞ良い週末をお過ごしください。

  

# by nagomi-no-kaze | 2019-04-06 12:18 | 出演します! | Trackback | Comments(0)

ジョルジュ・ルオー展

 20世紀フランスの画家 ジョルジュ・ルオーの作品展を北九州市立美術館で見てきました。
その時のことをお話しましょう。

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 北九州市立美術館が所蔵するルオーの作品が多い事に、私は驚きました。
「受難」のタイトルで18点、「ミセレーレ」という銅版画集に納められた銅版画と、関連する絵は73点もありました。
それに加えて今回、汐留ミュージアム、ヴァチカン美術館、ポンピドューセンター、ルオー財団からの作品、
そして個人所蔵の作品らと共に紹介されている、素晴らしい展示でした。 

<写真は、ポスターより。写真撮影可>

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 私はこの展覧会の予告ポスターに、絵の美しさにも惹かれていましたが、
以前朗読した、茨木のり子さんの詩「わたしが一番きれいだったとき」に、ルオーの名前があったことを思い出したのでした。

 それは、長い詩の中の一番最後の連に、このように記されています。

 
 ~ だから決めた できれば長生きすることに
年とってから凄く美しい絵を描いた
フランスのルオー爺さんのように  ね ~

   詩「わたしが一番きれいだったとき」 / 茨木のり子 より。

(ここでは、その箇所のみ記します。)
 


 

 茨木のり子さんの詩「わたしが一番きれいだったとき」は、代表作の一篇です。
茨木さんは19歳で終戦を迎えますが、まさに戦中・戦後をくぐり抜けていた時を、
心の中の言葉を、あふれんばかりに表現しています。
 どうして画家ルオー氏をこの詩に記したのかなと気になってはいましたが、
ルオーのことを深く調べたことがなく、そのままになっていたのです。


 

 さて、ルオーの銅版画集「ミセレーレ」。
ルオーは、第一次・第二次大戦の間、人類の悲劇を銅版による作品に表しました。
たとえ戦争が終わっても、その後人々の貧困・苦痛は変わらないことを、ルオーは見つめ続け表現したのでした。
ラテン語の 「Miserere」 ミセレーレ、日本語訳で「慈悲を」。
ルオーは、画集に付ける名まえに、これより他の言葉は思い浮かばなかったそうです。

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 ルオーは確かに晩年美しい絵を数多く残しているけれど、それだけではない。
茨木さんは、この銅版画集のこれらの絵も、そしてその後に描かれた聖なるキリスト像、聖なる人物象の美しい絵にも、
魅せられたのではないでしょうか。
ルオーの「慈悲を」絵に託した想いに、茨木さんの心は慰められたのかもしれません。


 この詩には、画家は「ルオー」でなければならなかった。それが、私の中でやっと、腑に落ちました。
「ルオー爺さん」と親しみをこめて詠んだ気持ちにも、今は、うなずけるのです。
私の中で、茨木のり子さんとルオーがようやくつながりました。



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北九州市立美術館 
http://kmma.jp/honkan/

※「ジョルジュ・ルオー展 聖なる芸術とモデルニテ」 2019年2月17日(日)までの展示です。

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# by nagomi-no-kaze | 2019-02-06 23:00 | 道しるべ(私が出会った作品) | Trackback | Comments(0)
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